野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、あれを聞きなすったかい」

「あれ? 上野の時の鐘なら毎日聞いているが――」

銭形平次は指を折りました。ちょうど辰刻(八時)を打ったばかり、――お早うとも言わず飛込んだ、子分のガラッ八の顔は、それにしては少しあわてております。

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