野村 胡堂

随筆銭形平次

一

捕物小説というものを、私は四百二三十篇は書いているだろう。その上、近ごろは毎月五六篇は書いているから、幸いに私の健康が続く限り、まだまだこの多量生産は止みそうもない。

私が「銭形平次捕物控」という捕物小説を書いたのは、昭和六年ごろで、「オール読物」の創刊と同時であった。最初は勿論六回と十二回でよす積もりであったが、調子に乗って十何年か書き続け(その間半歳だけ休んだが)戦争末期のオールの廃刊までに、実に百五十五回と書き続けた。

その後オールの復活とともにまた書き続けているし「新報知」その他の新聞雑誌に書いたのを加えると、銭形だけで、ざっと三百二十篇くらいにはなっているだろう。

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