野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「八、あの巡礼を跟けてみな」

平次は顎をしゃくって見せました。が、浅草橋の御見附を越して、浜町の方へトボトボと辿って行く男巡礼、頽然とした六十恰好の老爺に、何の不思議があろうとも、ガラッ八の八五郎には思えなかったのです。

「あの、拙い御詠歌をやって歩く――」

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