野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「親分、変なことがあるんだが――」

ガラッ八の八五郎がキナ臭い顔を持ち込んだのは、まだ屠蘇機嫌のぬけ切らぬ、正月六日のことでした。

「何が変なんだ、松の内から借金取りでも飛込んだというのかえ」

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