野村 胡堂

銭形平次捕物控

一

「お早う」

ガラッ八の八五郎は、尋常な挨拶をして、慎み深く入って来ると、お静のくんで出した温かい茶を、お薬湯のように押し戴いて、二た口三口啜りながら、上眼づかいに四辺を見廻すのでした。

「どうした八、たいそう御行儀が良いようだが、何か変ったことでもあったのかい」

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