吉川 英治

日本名婦伝

一

義経はもろ肌を脱いで、小冠者に、背なかの灸をすえさせていた。

やや離れて、広縁をうしろにし、じっと、先刻から手をつかえているのは、夫人の静の前であった。

八月の真昼である。

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