吉川 英治日本名婦伝一義経はもろ肌を脱いで、小冠者に、背なかの灸をすえさせていた。やや離れて、広縁をうしろにし、じっと、先刻から手をつかえているのは、夫人の静の前であった。八月の真昼である。青空文庫の作品カード