吉川 英治

田崎草雲とその子

梅渓餓鬼草紙の中に住む

一九先生に会うの機縁

山谷堀の船宿、角中の亭主は、狂歌や戯作などやって、ちっとばかり筆が立つ。号を十字舎三九といっていたが、後に、十返舎一九と改めて、例の膝栗毛を世間に出した。

それが馬鹿な売れ行きをみせて、馬琴物も種彦物も影をひそめてしまったので、一九は、すっかりいい気持だった。

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