梶井 基次郎

不幸

第二稿

師走のある寒い夜のことである。

閉め切った戸をがたごと鳴らしながら吹き過ぎる怖ろしい風の音は母親の不安をつのらせるばかりだった。

その日は昼下りから冬の陽の衰えた薄日も射さなかった。雪こそは降り出さなかったが、その灰色をした雪雲の下に、骨を削ったような櫟や樫の木立は、寒い木枯に物凄い叫びをあげていた。

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