江戸川 乱歩

おれは二十面相だ

五月のある日のこと、麹町の高級アパートにある明智探偵の事務所へ、ひとりの老紳士が、たずねてきました。

ふさふさとした白いかみを、オールバックにして、白い口ひげをはやした、やせがたで、背のたかい、りっぱな老紳士です。

この人は松波文学博士で、あるお金持ちがたてた古代研究所の所長なのですが、西洋の古代のことをしらべている、有名な学者でした。

明智探偵は、ある会で松波博士とあったことがあるので、知りあいのあいだがらでしたが、その有名な老学者が、とつぜんたずねてきたのです。

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