野村 胡堂

葬送行進曲

呪われた名曲

「どうなさいました、貴方」

若い美しい夫人の貴美子は、夫棚橋讃之助の後を追って帝劇の廊下に出ました。フランスから来た某という名洋琴家の演奏が、今始まったばかりと云う時です。

「とても我慢が出来ない、あの曲は俺に取ってはヒドク不吉なんだ」

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