野村 胡堂

判官三郎の正体

一

「泥棒の肩を持つのは穏かではないな」

唐船男爵は、心持その上品な顔をひそめて、やや胡麻塩になりかけた髭に、葉巻の煙を這わせました。

日曜の午後二時、男爵邸の小客間に集った青年達は、男爵を中心に、無駄話の花を咲かせて、長閑な春の日の午後を過して居ります。

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