野村 胡堂

焔の中に歌う

一

温かい、香ばしい芙蓉の花弁が、そっと頬に触れた――。

そう感じて深井少年は眼を開きました。

多分今まで気を喪なって[#「喪なって」はママ]居たのでしょう、四方を見ると、全く見も知らぬ華麗な室の、南寄の窓の下に据えた、素晴らしい長椅子の上にそっと、寝かされて居るのでした。

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