中谷 宇吉郎

永久凍土地帯

黒河への旅

外は零下三十度近い寒さである。

黒河へ向う私たちの汽車は、孫呉の駅を出て既に数時間走っている。

車窓に見える限りの雪原は、いつまで行っても平坦で、何の起伏もない。家もなければ立木もなく、薄鼠のただ一色に見える雪の原は、ところどころ朔風に傷つけられて、黒い地肌が出ている。雪にまみれ掻き乱された枯草がその地肌を蔽っていて、夏の荒涼とした広野の景色をしのばせてくれる。

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