中谷 宇吉郎
ネバダ通信
「積雪水量測定の父」
ネバダ通信は、まずネバダ大学の教授チャーチ博士の話から始めなければならない。チャーチ博士の名を初めて知ったのは、一九三六年だったかと思う。国際雪氷委員会のエヂンバラ総会の報告書が届いた時、その総裁としてのチャーチ博士を初めて知ったのである。
それから今年で十三年になる。その間戦争の期間を除いて、ずっと親しい交際をつづけてきた。ただしそれは手紙と論文とによる交際であって、会ったのは、今度が初めてなのである。
一九三九年だったかと思うが、ワシントンでこの国際雪氷委員会の第三回総会があった時、チャーチ博士から出席を希望された。しかし当時は今度の戦争の前で、世界中の空気も険悪であったし、私も療養中だったので、出席は断念した。その代りに、その前年初めて成功した人工雪の研究過程を、顕微鏡映画に撮り、英文のアナウンスを入れて、総会に送った。