柳 宗悦
現在の日本民窯
私たちはこれから九州の南端を発して北へと上り、四国を一瞥し、山陽山陰を廻り、中部の諸国を経て、北国に進み、転々と現在の民窯を訪ねようとするのである。もとより訪ね得ないもの、知り得ないものなど多々あるに違いない。しかし現状を知り得たもの総じて四十数カ所に及ぶ。一カ所に多くは数個のまたは十数個の窯を有つから窯数からすれば概算少なくとも二百には達するであろう。私たちはこのために長い旅をつづけた。
この本を編纂するに当って、四十数カ所の全部について記事を集めることが出来なかったのは残念である。しかしその大部分と、主要なほとんど凡てを網羅し得たから、これでほぼ現在の日本民窯を代表させ得ると信じる。その多くは在来の陶器史に記載なきものであるから、将来の研究者には役立つであろう。私たちは今後も埋もれた窯を続いて紹介したい考えである。
以下諸篇は十二人の筆になるので、文体や、叙述の風や、観点や、精粗は一様ではない。ただ一冊に纏める関係上なるべく簡単に各窯の歴史、品目、特色等を略述するに止めた。
琉球壺屋