梅崎 春生
凡人凡語
その子は、ぼくを嫌っています。いや、たしかに憎んでいるのです。
今子供と言いましたが、もう子供じゃないのかも知れない。戦後子供の背丈がにょきにょきと向上して、どこで大人と子供の区別をつけるのか、どうも判らなくなって来たようです。言うことは子供っぽくても、身長が百八十センチもあったり、あるいは逆に、恰好は子供子供としているのに、言うことだけはぺらぺらと悪達者だったり、けじめのつかない場合がしばしばある。ぼくはもう三十七歳になって、彼等の世界と相渉ることがないので、どうでもいいようなもんですが、やはりけじめのつかないということは、良いことじゃありません。
先年先輩のお伴をして、九州へスケッチ旅行に行きました。いろいろ見たり聞いたり描いたりして来ましたが、驚いたのは向うの食用植物の大ぶりなことですな。ビールの肴にするから、モロキュウを呉れと頼んだら、一尺近いキュウリがでんと皿の上に乗って出て来る。びっくりして、も少し細いのを、と頼むと、
「こっちの方がおいしかとです。花のついて痩せたのは、栄養はなか!」