佐々木 味津三
旗本退屈男
一
その第四話です。
第三話において物語ったごとく、少しばかり人を斬り、それゆえに少し憂欝になって、その場から足のむくまま気の向くままの旅を思い立ち、江戸の町の闇から闇を縫いながら、いずこへともなく飄然と姿を消したわが退屈男は、それから丁度十八日目の午下り、霞に乗って来た男のように、ふんわりと西国、京の町へ現れました。
――春、春、春。
佐々木 味津三
一
その第四話です。
第三話において物語ったごとく、少しばかり人を斬り、それゆえに少し憂欝になって、その場から足のむくまま気の向くままの旅を思い立ち、江戸の町の闇から闇を縫いながら、いずこへともなく飄然と姿を消したわが退屈男は、それから丁度十八日目の午下り、霞に乗って来た男のように、ふんわりと西国、京の町へ現れました。
――春、春、春。