三遊亭 金馬
噺家の着物
咄家の着物とあらたまっていうほどのこともないが、落語のなかにでてくる人物の着物をお客に説明するにも、咄家自身のなりがわるいといいにくいことがある。
たとえば、『夢金』で、
雪のなか舟宿へくる侍と娘“黒羽二重の五ツ所紋付”、黒がやけて羊羹色になり、紋だけ黒くなっていて“羊羹羽二重黒紋付”、茶献上の芯のでた帯を、胸高に締め、朱鞘の禿っちょろけた大小落し差し
というようなことをはなすのに、自分の紋付が衿垢のついた色のさめた紋付で、手垢で光っているのでは気がさして、大きな声でお喋りができない。