伊藤 野枝

新らしき婦人の男性観

世間には可成に女を知りぬいたつもりで、かれこれと女を批評する男が尠くないやうですが、それが大抵九分九厘迄は当つてゐないので、こちらの耳へは寧ろ滑稽に聞える位なものです。男は独りよがりを楽むものと思はれます。

男は寛大で、万事が大まかです。随つて綜合的な点に於て女は男に及ばないでせうが、部分的な細かい洞察は、とても女に勝てますまいと思はれます。

女は綜合的で無いかわりに部分的に深刻です。男は綜合的ではあるが、如何にも粗笨で浅薄です。何を為るにも独り合点で、片端から独断でやつてのけます。男の為ることは馬鹿々々しい程無邪気に女には見えます。

浅薄な、手妻師のやうな男が其処等中に転がつてゐますが、左様云ふ男が女に対する場合、能きる丈けの猫を被つてゐます。けれども其の猫の皮は何んでも無く観破れるのです。直とお底が知れるのです。

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