山川 方夫
演技の果て
日ざかりは光が眩しかったが、いつのまにかなまあたたかい初夏の宵にかわっていた。かすかな風も出てきて、街路を歩いて行き、見上げるとまだビルの上にうす青い晴れた空がのこっていた。
「すてきだったわ、今日は」私が足をとめると、つれの女は腕をときながらいった。
「とくに、君の食欲がすてきだった」
「あれは、ソースがよくできていたわね、仔牛のカツ」
山川 方夫
日ざかりは光が眩しかったが、いつのまにかなまあたたかい初夏の宵にかわっていた。かすかな風も出てきて、街路を歩いて行き、見上げるとまだビルの上にうす青い晴れた空がのこっていた。
「すてきだったわ、今日は」私が足をとめると、つれの女は腕をときながらいった。
「とくに、君の食欲がすてきだった」
「あれは、ソースがよくできていたわね、仔牛のカツ」