江戸川 乱歩

大金塊

小学校六年生の宮瀬不二夫君は、たったひとり、広いおうちにるす番をしていました。

宮瀬君のおうちは、東京の西北のはずれにあたる荻窪の、さびしい丘の上に立っていました。このおうちは不二夫君のおじさんが建てられたのですが、そのおじさんが亡くなって、おばさんも子どももなかったものですから、不二夫君のおとうさまのものとなり、一年ほどまえから、不二夫君一家がそこに住んでいたのでした。

このおうちを建てたおじさんというのは、ひどくふうがわりな人で、一生お嫁さんももらわないですごし、そのうえ人づきあいもあまりしないで、自分で建てた大きな家にとじこもって、こっとういじりばかりして暮らしていたのですが、このおうちも、そのおじさんが建てただけあって、いかにもふうがわりな、古めかしい建て方でした。

全体で十二間ほどの二階建てコンクリートづくりの洋館なのですが、赤がわらの屋根の形がみょうなかっこうに入りくんでいて、まるでお城かなんかのような感じでしたし、その屋根の上に、いまどきめずらしい、石炭をたく暖炉の、四角なえんとつがニューッとつきでていて、おうちのかっこうをいっそう奇妙に見せているのでした。

青空文庫の作品カード