江戸川 乱歩

塔上の奇術師

ある夕がた、名探偵明智小五郎の少女助手、花崎マユミさんは、中学一年のかわいらしい少女ふたりと手をとりあって、さびしい原っぱを歩いていました。

畑があったり、林があったり、青い草でふちどられた小川がながれていたり、その上にむかしふうの土橋がかかっていたりして、まるで、いなかのようなけしきですが、ここは、いなかではなく、東京都世田谷区のはずれなのです。

マユミさんにつれられているふたりの少女は、淡谷スミ子と森下トシ子という、おなじ中学の同級生で、淡谷さんのおうちがこの近くにあるので、きょうはマユミねえさまと森下トシ子ちゃんをおまねきして、三人で、この原っぱへさんぽに出たのです。

スミ子ちゃんもトシ子ちゃんも算数がとくいで、ものごとを、すじみちをたてて考えることがすきでした。

青空文庫の作品カード