伊藤 野枝
編輯室より
□今月号は大変後れてしまひました。以後はこんなことのないやうに気をつけます、勿論これはあながち私が怠けた為でなく大部分は印刷所の都合に由るのです。□毎号不着のハガキがきつと一二枚づゝは来ますがなるべくならば十日以前におしらせが願ひたいのです。月後半は往々品切になることがあつてお送りが出来ませんから。□らいてう氏はしばらく胃腸病でやすんでゐらつしやいましたが此の頃は余程いゝやうです。毎週日曜日午前が面会日です。□此度の総選挙に婦人の運動者が多かつたと云つて首相や内相が英国の女権運動の如き運動の導火線になると困るとか何とか云つて禁止の意を仄めかせられたと云ふことについて新聞が大変なことのやうに挙つて報道した。併し日本の官権の頑迷は今はじまつた事ではない。それは如何にも彼等の考へさうなことである。その彼等の心情は憫笑に価するけれども私は世間の人が気にする程戸別訪問の価値も認めないし、それが禁止されたとて何も大したことはあるまいと思ふ。また真にその禁止に向つて抵抗の出来る力をもつた婦人が幾人あるかと考へると私は到底禁止を妨害することなんか思ひもよらないことだと思ふ。もし真に必要にせまられた、根底のある、権威のある運動ならばどうしたつて官権の禁止位は何でもなく抵抗が出来る筈だ。またそんなことを気にもしてはゐないだらう。併し日本の婦人の社会的な運動がそれ程までの力をもつて現はれる日がそんなにも近い日であるとは私には思へない。その頃にはもう少しは若い人たちの権威の時代であるかもしれない。□私の卒業した女学校に此の頃或る転機が来て頻りに動揺してゐる。私は学校を出てから四年の間一度もよりつかなか