伊藤 野枝
編輯室より
□もう私が雑誌を譲り受けまして丁度一年になります。どうかしたい/\と思ひながら微力で思つた十分の一も実現することがなく無為に一年を過しました。今月号も新年号の事とてどうにかしたいと思つてゐましたが何しろ、私が帰京しましたのが十二月五日か六日だつたのにそれから一週間ばかりの間は咽喉をはらして食事をすることも話をすることも困難になつて何にも出来ませんでした為めに、大変手ちがひになつて今度もまたおはづかしいものをお目に懸けます。けれども私も身軽になつてかへつて来ましたからこれからは少し懸命に働きたいと思つてゐます。だん/\に少しづゝでも努力のあとが現はれるやうにしたいとおもつてゐます。何卒皆様にも一層御尽力を願つて共に育てゝゆきたいと思ひます。□何時かも申ましたやうに、自分たちの勉強の為めにも何かの問題をとらへて皆で研究すると云ふのはいゝ事だと思ひます。それで次号から私は自分の書きたいものゝ外に何か思想上の実際的な問題をさがしてそれについて書かうと思ひます。そしてそれを皆様の仰言つた事と一緒に批評して頂きたいのです。一句でも一章でもいゝのです。そして出来るだけ発表する為に次号で六号欄を別に設けて其処で発表するやうにしたいのです。何卒お互ひに勉強のたしになる事ですから賛成して頂きたいと思ひます。それには実際読者諸姉の現在考へ悩んでゐらつしやるやうな事をさうして大勢の最も進んだ意見をお聞きになつてお考へになるのもいゝ一つの方法だと思ひます。さう云ふ方面での材料をお持ちになる方は私迄おしらせ下されば大変にいゝと思ひます。勿論決してお名前を出すやうな事はしませんし、私も知らなくてもいゝのです