伊藤 野枝

編輯だより

□種々なうはさに幾分不安をお感じになつた方が読者の間にも多少あつたことゝ思ひます。けれども、どんなことがあつても永久に廃刊するなどいふことはしたくないと私自身は思つてゐます。少々位の困難はもとより覚悟の前ですから何でもないことです。□今月号から日月社の安藤枯山氏の御厚意で私の留守中丈け雑務をとつて下さることになりました。多事ながら面倒なことをお引きうけ下すつた御厚意を深く感謝いたします。□今月号から大分いろ/\なことを始める計画をたてゝ居りましたけれども私が七月の末までは東京にいろいろな用をもつて忙がしいおもひをして歩きまはつてゐまして月末になつてこちらへまゐりまして、十日頃までと云ふものきまつた座り場所ももてないやうな有様でしたし、その間にもなを、東京に残して来た種々な面倒な用についても始終考へたり、原稿も目を通さねばならずと云つた風にどれと云つて一つことに向つてゐることが出来ずに始終片附かない、半ぱな考へで頭の中は混乱してゐますし、体はおちつき先きを見出さずひきつゞく疲労の為めに変ですし、実に困りました。それ故何にも考へてゐることは実行が出来ずに日が迫つて来まして諸氏に対しても実に申訳けのない次第とはおもひますが今度こそは屹度、せめて考へてゐる半分丈けでも実現させるつもりです。本当に何時もながら自分の意久地なしが情けなくなつてまゐります。□此度帰京しましたら少しは人なみに働くことが出来るやうにしたいといまから考へて居ります。久しぶりに故郷にかへつて見ますといろ/\おもしろいことを見たり感じたりします。今月六号でこれを書くつもりにして居りましたけれどもつい書けさうもありません

青空文庫の作品カード