伊藤 野枝
妾の会つた男の人人
森田草平氏
四年ばかりも前に鴈治郎が新富座で椀久を出した時に、私と哥津ちやんと保持さんが見にゆく約束をしました。さうして私と保持さんは始めから一緒に行つて、新富町についてから哥津ちやんに散々待ち呆けを喰されたあげく、這入つた時にはもう満員ですわる所がないやうな有様でした。しかし出方のあつかひで私達は二階の帳場に席をとりました。
其時の幕間にいきなり小母さんの座つてゐる前にヌーツと立つた人があります。
「酒を飲む所は何処です。」
伊藤 野枝
森田草平氏
四年ばかりも前に鴈治郎が新富座で椀久を出した時に、私と哥津ちやんと保持さんが見にゆく約束をしました。さうして私と保持さんは始めから一緒に行つて、新富町についてから哥津ちやんに散々待ち呆けを喰されたあげく、這入つた時にはもう満員ですわる所がないやうな有様でした。しかし出方のあつかひで私達は二階の帳場に席をとりました。
其時の幕間にいきなり小母さんの座つてゐる前にヌーツと立つた人があります。
「酒を飲む所は何処です。」