佐々木 邦

負けない男

堀尾の小旦那

就職難といっても、その頃は世の中が今日ほど行き詰まっていなかった。未だ/\、大学即ち帝大の時代で、一手販売だったから、贅沢さえ言わなければ、新学士は何処かにはけ口があった。その証拠に、堀尾君の同期生は半数以上身の振り方が定っていた。それが卒業と共にポツ/\赴任する。○高以来六年間毎日顔を合せて来た連中も今やチリ/″\バラ/\になる。送別会が頻繁にあった。

「おい。又明日の晩あるよ」

と同じく卒業したばかりの間瀬君が堀尾君を訪れた。

青空文庫の作品カード