野村 胡堂
銭形平次捕物控
【第一回】
一
その頃江戸中を荒した、凶賊黒旋風には、さすがの銭形平次も全く手を焼いてしまいました。
本郷、神田、小石川へかけて、町木戸の無いところを選って、三夜に一軒、五日に二軒、どうかするとそれが連夜に亘って、江戸の物持ち、有徳の町人共を、全く恐怖のドン底に陥入れてしまったのです。
野村 胡堂
【第一回】
一
その頃江戸中を荒した、凶賊黒旋風には、さすがの銭形平次も全く手を焼いてしまいました。
本郷、神田、小石川へかけて、町木戸の無いところを選って、三夜に一軒、五日に二軒、どうかするとそれが連夜に亘って、江戸の物持ち、有徳の町人共を、全く恐怖のドン底に陥入れてしまったのです。