野村 胡堂
銭形平次捕物控
一
「永い間こんな稼業をしているが、変死人を見るのはつくづく厭だな」
捕物の名人銭形の平次は、口癖のようにこう言っておりました。血みどろの死体をいじり廻すのを商売冥利と考えるためには、平次の神経は少し繊細に過ぎたのです。
それが一番凄惨な死体と逃れようもなく顔を合せることになったのですから、全くやり切れません。
野村 胡堂
一
「永い間こんな稼業をしているが、変死人を見るのはつくづく厭だな」
捕物の名人銭形の平次は、口癖のようにこう言っておりました。血みどろの死体をいじり廻すのを商売冥利と考えるためには、平次の神経は少し繊細に過ぎたのです。
それが一番凄惨な死体と逃れようもなく顔を合せることになったのですから、全くやり切れません。