中谷 宇吉郎
北国の春
ウィネツカは札幌と大体緯度が同じくらいで、風物にも似たところがある。とくに春は感じがよく似ている。ともに北国のおそい春であるが、それにもまた捨てがたい情趣がある。
二度目のウィネツカの春を迎えて、異国の生活にも大分馴れたが、やはり少し草臥れたのかもしれない。二十年間住んだ札幌のことなどが、時々思い出される。アメリカから北海道へというような気持で、北国の春を、思いつくままに綴ってみた。
ウィネツカの早春
シカゴの郊外、このウィネツカの町にも、ようやく春がきて、毎朝目をさますと、春の陽があたたかく、ガラス戸越しにさしこんでいる日がつづく。