中谷 宇吉郎
北海道開発に消えた八百億円
一 札幌の発展
北海道の首都札幌は、この二、三年来異常な建築ブームでたいへんな賑わいである。街の中心に近い地域では、到るところにビルの建設が進められ、発展途上にある米国南部の都市のような景観を呈している。
この札幌の近年の発展については、最近ちょっと驚いたことがある。たしか『北海道建築』とかいう題名だったが、北海道、主として札幌の建物を写した写真集が刊行されている。その写真集を何気なく見ていたら、おやと思ったことがあった。それは外国の中都市の写真が一枚間違ってはいったかと思ったからである。碁盤の目に切った立派な都市に、高いビルが整然と並び、その間を縫って、街路樹の並木が、縦横に走っている。その航空写真である。
こんな立派な中都市が、日本にあろうとは思っていなかったので、初めは外国の都市の写真が紛れ込んだかと思ったのも、無理ないことであった。ところがよく注意して見ると、それは自分が二十七年来住んできた札幌の街の写真だったのである。これが、札幌の中心部を航空写真にとって、大きく見開きに入れたものと分ったときには、思わず苦笑した。