中谷 宇吉郎
湯川秀樹さんのこと
十一月四日は、たまたま函館にある北大の水産学部で、文化講義をする日になっていた。
朝、学校へ顔を出したら、とたんに学部長の武田さんが、「先生、今朝のラヂオの臨時ニュースを御ききですか。湯川博士がノーベル賞を貰うことに決ったそうですが」と、やや興奮した語調で話し出された。
「そうですか。それはたいへんなニュースですね。ちっとも知りませんでした」
「昨夜のニュースでは、多分決りそうだといっていましたが、今朝はいよいよ確定したというんです」
中谷 宇吉郎
十一月四日は、たまたま函館にある北大の水産学部で、文化講義をする日になっていた。
朝、学校へ顔を出したら、とたんに学部長の武田さんが、「先生、今朝のラヂオの臨時ニュースを御ききですか。湯川博士がノーベル賞を貰うことに決ったそうですが」と、やや興奮した語調で話し出された。
「そうですか。それはたいへんなニュースですね。ちっとも知りませんでした」
「昨夜のニュースでは、多分決りそうだといっていましたが、今朝はいよいよ確定したというんです」