中谷 宇吉郎
コロラド通信
一 半沙漠地帯の農業
アメリカの地図を頭に浮べてみよう。太平洋岸の太陽と水とに恵まれた細長い地域、即ちカリフォルニア州の一部は、大部分の土地が、一年二毛作、作物によっては三毛作も可能といわれる地上の楽園である。
しかし一旦ネバダ山脈を越し、太平洋の水域を離れると、急に荒涼たる沙漠地帯にはいる。ネバダ州、ユタ州から南方にかけての諸州は、大部分の土地が恐しい沙漠であって、わずかに緑の土地があっても、それも半沙漠地帯である。
一面に高台の盆地になっていて、ロッキー山脈がその東側の境をなしている。盆地といっても、その一部であるネバダ州が、現在の日本の全面積よりわずかばかり狭いくらいであるから、その広さが想像されるであろう。