佐々木 邦
勝ち運負け運
幼少の思い出
隣り同士の僕と菊太郎君は妙な因縁だ。凡そ仲の好い友達といっても、僕達二人のようなのは類があるまい。三十余年間、始終一緒だった。学校も一緒、商売も一緒、何方か病気をしない限り、毎日顔を合せて来ている。同業のものは僕達のことを御両人と呼ぶ。僕も菊太郎君もそれに異存は毛頭ない。
「羨ましいね、御両人は」
「若旦那同志のお神酒徳利だ。そのまゝじっとして並んでいさえすれば、今に時節が廻って来る」
佐々木 邦
幼少の思い出
隣り同士の僕と菊太郎君は妙な因縁だ。凡そ仲の好い友達といっても、僕達二人のようなのは類があるまい。三十余年間、始終一緒だった。学校も一緒、商売も一緒、何方か病気をしない限り、毎日顔を合せて来ている。同業のものは僕達のことを御両人と呼ぶ。僕も菊太郎君もそれに異存は毛頭ない。
「羨ましいね、御両人は」
「若旦那同志のお神酒徳利だ。そのまゝじっとして並んでいさえすれば、今に時節が廻って来る」