中谷 宇吉郎

大雪山二題

一 大雪山の雪

昭和二十二年の秋の話である。

その頃私は、資源関係の或る会の委員をしていて、日本の水資源の調査を一部やることになっていた。敗戦後の日本に残された資源のうちで一番大きいものは水であるから、これは少し真面目にやってみる必要がある。というので、柄にないことを始めたわけである。

ところで水資源のうちで、一番大きいものは、日本では、まず雪であるということに気がついた。これは我田引雪の話ではなく、日本が世界的に見ても、非常に雪の多い国であることは、小学校の生徒でも皆知っている。それから雪が解けると水になることも、改めていうと叱られるくらい明白なことである。それで日本の国で水資源を論ずるとしたら、雪を真先にとりあげるべきである。

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