佐々木 邦
ぐうたら道中記
第一回
何にする積りかこの間学校で担任の先生が皆のお父さんの職業を取調べた。級長から席順に官吏大蔵省技師とか、実業白木屋店員とかと答えて、僕の番が近づいた時、僕は尠からず当惑した、僕のお父さんは商売なしだ。今に何かやるよと言うのは口先ばかりで、僕を長男に五人の子供の親になってまだ一定の職業がない。四十にして惑わずというからイヨ/\最早惑わずに無職業と度胸を据えたのらしい。何にもしないで生きているのを徒食というと先日読書の時間に習ったが、まさか徒食業と答える次第にも行かず困っていると、僕の前の奴がすっくと立ち上って、
「無職!」
と元気好く答えた。おや。仲間があったか、と思ったら、僕は急に心丈夫になった。しかし先生は、