中谷 宇吉郎
雑記
一 江戸時代のめんこ
下町に家があった頃である。ある五月の日曜の朝早く、久しぶりで、千葉の稲毛の海岸へ出かけた。
下町の真中に住んでいた自分には、花曇りの頃から引続いて随分鬱々しい厭な時期であった。
丁度この日は珍しくよく晴れていたので、特に感じたのかも知れないが、稲毛の松林の中から、空気の透明な空と海の映えた色とを眺めながら、久しぶりで気持よく海岸に遠くない麦畑の中を歩いて行った。
中谷 宇吉郎
一 江戸時代のめんこ
下町に家があった頃である。ある五月の日曜の朝早く、久しぶりで、千葉の稲毛の海岸へ出かけた。
下町の真中に住んでいた自分には、花曇りの頃から引続いて随分鬱々しい厭な時期であった。
丁度この日は珍しくよく晴れていたので、特に感じたのかも知れないが、稲毛の松林の中から、空気の透明な空と海の映えた色とを眺めながら、久しぶりで気持よく海岸に遠くない麦畑の中を歩いて行った。