江戸川 乱歩
恐怖王
死骸盗賊
一台の金ピカ葬儀自動車が、どこへという当てもないらしく、東京市中を、グルグルと走り廻っていた。
車内には、よく見ると、確に白布で覆った寝棺がのせてある。棺の中に死人が入っているのかどうかは分らぬけれど、棺をのせた葬儀車が、附添いの自動車もなく、ただグルグルと町から町へ走り廻っているというのは如何にも変だ。
葬式に傭われた帰りでもないらしい。と云って、これから傭われて行くにしては、時間が変だ。長い春の日が、もう暮るに間もないのだから。
江戸川 乱歩
死骸盗賊
一台の金ピカ葬儀自動車が、どこへという当てもないらしく、東京市中を、グルグルと走り廻っていた。
車内には、よく見ると、確に白布で覆った寝棺がのせてある。棺の中に死人が入っているのかどうかは分らぬけれど、棺をのせた葬儀車が、附添いの自動車もなく、ただグルグルと町から町へ走り廻っているというのは如何にも変だ。
葬式に傭われた帰りでもないらしい。と云って、これから傭われて行くにしては、時間が変だ。長い春の日が、もう暮るに間もないのだから。