山本 周五郎
笠折半九郎
失火
一
喧嘩は理窟ではない、多くはその時のはずみである、理窟のあるものならどうにか納りもつくが、無条理にはじまるものは手がつけられない、笠折半九郎と畔田小次郎との喧嘩がその例であった。
二人は紀伊家の同じ中小姓で、半九郎は西丸角櫓の番之頭を兼任し、食禄は三百石、小次郎は二百五十石を取っていた。……年齢は半九郎の方が二歳年長の二十七であるが、気質からいうと小次郎の方が兄格で、烈しい性格の半九郎とはちょうど火と水といった対照であった。
山本 周五郎
失火
一
喧嘩は理窟ではない、多くはその時のはずみである、理窟のあるものならどうにか納りもつくが、無条理にはじまるものは手がつけられない、笠折半九郎と畔田小次郎との喧嘩がその例であった。
二人は紀伊家の同じ中小姓で、半九郎は西丸角櫓の番之頭を兼任し、食禄は三百石、小次郎は二百五十石を取っていた。……年齢は半九郎の方が二歳年長の二十七であるが、気質からいうと小次郎の方が兄格で、烈しい性格の半九郎とはちょうど火と水といった対照であった。