山本 周五郎

落葉の隣り

一

おひさは繁次を想っていた。それは初めからわかっていたことだ。ただ繁次が小心で、おひさの口からそう云われるまで、胸の奥ではおひさを想いこがれながら、おひさは参吉を恋しているものと信じ、そのために心を磨り減らしているのであった。

「なんでもないよ、繁ちゃん」と参吉が云った、「大丈夫だ、心配しなくってもいいよ」

これが繁次と参吉と、そしておひさをむすびつけるきっかけになったのだ。

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