山本 周五郎

暗がりの乙松

一

居合腰になってすーと障子を明ける、そのまましばらく屋内のようすを聞きすましてから、そっと廊下へ忍び出た。とたんに、

※(歌記号、1-3-28)きりぎりす

   袖も袂も濡れ縁に

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