山本 周五郎

ちゃん

一

その長屋の人たちは、毎月の十四日と晦日の晩に、きまって重さんのいさましいくだを聞くことができた。

云うまでもないだろうが、十四日と晦日は勘定日で、職人たちが賃銀を貰う日であり、またかれらの家族たちが賃銀を貰って来るあるじを待っている日でもあった。

その日稼ぎの者はべつとして、きまった帳場で働いている職人たちとその家族の多くは、月に二度の勘定日をなによりたのしみにしていた。夕餉の膳には御馳走が並び、あるじのためには酒もつくであろう。

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