山本 周五郎
燕(つばくろ)
若い人たち(一)
佐藤正之助が手招きをした、「こっちだ、大丈夫だよ、祖父がいるだけだから」
「でも悪いわ」と阿部雪緒が囁いた、「お庭を通りぬけたりして、もしもみつかったらたいへんよ」
「こっちの松林をゆけば裏木戸があるんだ、木戸の外には栗の木が茂っているから、そこなら誰にもみつからずに話ができるんだよ」
山本 周五郎
若い人たち(一)
佐藤正之助が手招きをした、「こっちだ、大丈夫だよ、祖父がいるだけだから」
「でも悪いわ」と阿部雪緒が囁いた、「お庭を通りぬけたりして、もしもみつかったらたいへんよ」
「こっちの松林をゆけば裏木戸があるんだ、木戸の外には栗の木が茂っているから、そこなら誰にもみつからずに話ができるんだよ」