山本 周五郎
七日七夜
一
本田昌平は、ものごとをがまんすることにかけては、自信があった。
生れついた性分もあるかもしれないが、二十六年の大半を、そのためにも修業して来た、といっても不当ではない。三千石ばかりの旗本の四男坊というだけで、わかる人にはわかると思う。そのころ世間一般に、
――二男三男は冷飯くらい、四男五男は拾い手もない古草鞋。
山本 周五郎
一
本田昌平は、ものごとをがまんすることにかけては、自信があった。
生れついた性分もあるかもしれないが、二十六年の大半を、そのためにも修業して来た、といっても不当ではない。三千石ばかりの旗本の四男坊というだけで、わかる人にはわかると思う。そのころ世間一般に、
――二男三男は冷飯くらい、四男五男は拾い手もない古草鞋。