山本 周五郎

野分

一

「なにがそんなに可笑しいんだ」

「だってあんまりですもの」運んで来た燗徳利を手に持ったまま、お紋は顔を赤くして笑い続けた、「……板前さんがあんまりなんですもの」

「板前がどうあんまりなんだ」

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