佐々木 味津三

右門捕物帖

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――今回は第八番てがらです。

それがまた因縁とでも申しますか、この八番てがらにおいても、右門はまたまたあの同僚のあばたの敬四郎とひきつづき第三回めの功名争いをすることになりましたが、事の起きたのは八月上旬でありました。

旧暦だからむろんひと月おくれで、現今の太陽暦に直すと、ほぼ九月の季節にあたりますが、だから暦の上ではすでに初秋ということになってはいるものの、日ざかりはかえって真夏よりしのぎにくいくらいな残暑です。加うるに厄日の二百十日がひとあらしあるとみえて、もよったままの降りみ降らずみな天候でしたから、その暑いこと暑いこと、五右衛門が油煎りも遠くこれには及ぶまいと思われるほどの蒸しかたでしたが、しかし宮仕えするものの悲しさには、暑い寒いのぜいたくをいっていられなかったものでしたから、しかたなくおそめに起き上がると、ふきげんな顔つきで、ともかくもご番所へ出仕のしたくにとりかかりました。

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