山本 周五郎

半之助祝言

一

折岩半之助が江戸から着任した。

その日、立原平助が桃の咲きはじめたのを見た。次席家老の前田甚内の家の桃である。平助はそれについて次のような感想を述べた。

「南枝一輪、桃などもそう云っていいものかどうか、ともかく南面の枝に三つ四つ、ふっくらと咲いていたよ、こんなふうにさ」

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