山本 周五郎

枡落し

一

――ねえ、死にましょうよ、とおうめが思いつめたように云った。二人でいっしょに死にましょうよ、ねえ、おっ母さん。

表通りから笛や鉦や太鼓の、賑やかな祭囃しが聞えてきた。下谷御徒町の裏にいたときで、秋祭の始まった晩のことだった。

――あたし独りで死ぬのは怖いの、ねえ、おっ母さんもいっしょに死んで。

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