山本 周五郎

やぶからし

一

祝言の夜は雪になった。その数日間にあったこまかいことは殆んどおぼえていないが、盃の済んだあとまもなく、客の誰かが「とうとう雪になった」と云い、それから、宴席がひときわ賑やかになったことと、その雪が自分の将来を祝福してくれるように思えたこととは、いまでも、いろいろな意味で、鮮明に思いだすことができる。

――ようやくおちつく場所ができた。

わたくしは綿帽子の中でそう思った。

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