山本 周五郎

ゆうれい貸屋

一 怠け者にも云えば理はあり

江戸京橋炭屋河岸の「やんぱち長屋」という裏店に、桶屋の弥六という者が住んでいた。弥六は怠け者であった。それも大抵なくらいのものではない、人を愚する程度でもない。もっとずっとひどい怠け者であった。

「あいつはしようがねえ、弥六のやつは」

家主の平作老人は歎息し次のように折紙を付けた。

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